母馬から距離適正を導き出す
競馬の配合において、近年父馬よりも母馬の遺伝子を多く受け継がれるという発表もあり、競走馬の適正を見極めるのに母馬の特徴というのも注目がますます高くなってきました。
その中でも血統で注目をされるのが母馬で、母馬の距離適正を受け継いだ馬は多くいます。
典型的だったのがサンデーサイレンス産駒の馬で、そのほとんどが母馬の距離適正を引き継いでいます。
母馬だけではなく、母馬の父の遺伝子の方が大きな影響を与えるとも言われていて、母の父馬のことをブルード・メアー・サイヤー=Brood Mare Sire=BMSと呼ばれる事もあります。
競争馬の血統は父と母の父馬で決まるという考え方もありますので、父と母の父馬が同じ配合の競走馬を比較してみるのも有効です。
母の父馬(BMS)を見るというのは、血統による遺伝の直接の影響力だけではなく、繁殖牝馬は原則1年に1頭。
生涯を通じても10頭程度の仔馬しか産めないのでデータが少なく血統の配合でのデータを分析する時は父馬と母の父馬からデータを取る事でより精度の高い分析ができると理由からも母の父親は重要な役割を担います。
競馬新聞でも、出馬表に父馬・母馬・母の父馬(BMS)と紹介していて、その馬の距離適正を母の父馬のデータだけで紹介しているケースもあります。
こういった適正は母馬からのみ受け継がれるものではなくて、父馬の距離適正を受け継ぐケースも多くあります。
ただひとつ言える事は競争馬の距離適正について、血統が大きな影響を与えるのはいうまでもなく、血統表全体短距離適正の血統であれば、長距離を得意とする馬はまず生まれないでしょう。
ですが、どこから距離適正などの遺伝子を多く取るかというのは馬ごとに違い、一般的には種牡馬がどこの遺伝子を多く受け継がせるかの特徴を持っていると言われています。
最近でも競走馬の血統の分析はデータだけではなく、科学的な分析も進んでいて、最近では競争馬の距離適正はミオスタチン遺伝子の型によって影響を与えているという事がわかりました。
細かい説明は難しい話になるので省略しますが、もしかしたら近い将来には仔馬の血液検査などで簡単にその馬の特徴が解明されてしまう時代が来るのも近いかもしれません。