叩きのレースと本気のレース
競馬のレースとは、必ずしも馬を絶対にこのレースで勝てせようと本気で出走してくるケースだけではなく、「叩き」といって調整も含めてレースに出てくるケースもあります。
叩きという表現がよく使われるのが、放牧明けなどの休養を明けてから復帰の初戦を叩き1戦目と呼び、休養明け2戦目を叩き2戦目などと表現します。
これは休養をした馬は復帰一戦目では体ができあがってなく、本調子を取り戻すには、1戦叩いてからという表現から、叩きという表現が使用され、業界では、ひと叩き必要。叩かれて良化。などとパドックや調教の分析などでもよく使用されています。
こういった休養明け初戦のレースでは、一戦目から好走するほど仕上げてしまうと、イレ込んだ反動やなれない体で全力で走った反動などが来て復帰2戦目で好走しない二走ボケというものがあります。
ですので、最初から陣営はそのレースの勝敗は度外視して、一戦叩く意味で出走させているケースも多いのです。
こういった場合は特に体も仕上げてなくレースも調教の一貫という感覚で出走されています。
また中には、叩きは復帰1戦目だけで終わらず、2戦ほどかけないと本調子に戻らない馬もいますので、復帰1戦目に叩いた馬の復帰2戦目は本気などと決め付けてみない事が重要です。
叩きのレースとは休養明けだけに使われるものではなく、大きい重賞などのビッグレースの前にも使われるケースがあります。
大きいレースでより万全の状態で走らせる為にその前に1戦適当なレースに出して叩いて調整するのです。
こういった背景には、ビッグレースの前で頑張りすぎると肝心の照準に合わせてきたビッグレースで疲れが出て思うように走らないというリスクを軽減させる為にも叩きのレースを走らせます。
よく大きいレースですと適度な時期にそのレースのトライアルレースが行われる事があります。
出走条件のハードルの高さや時期などにも変わってきますが、こういったビッグレースの前のトライアル戦で勝った馬は本番の照準とされてきたはずのレースで走らないというデータも多いのです。
大きいレースの前に全力で走らせるリスクも減らし、レース感覚も失わせない為に適当なレースに軽めの調教で挑んできます。
こういった叩きの調整がありますので休養明けや、G1に出れるような一流馬のビッグレース前に出走するレースなどは、叩きで出走させているのか、本気で勝ちにきているか?というのを見極める必要があります。
当然、陣営は今回は叩きなんで勝たなくてもいいですとレース前に公言する事はほとんどありませんが、比較的簡単に叩きの軽い気持ちで出ているレースというのは見極められます。
叩きか、本気かの見極めのポイントは
日程や環境で判断する。
まずはその馬がG1などビッグレースの出走権を持っているのかを見極めましょう。
G1に出られるか微妙な実績の馬は当然叩きなどは挟まずに本気できます。
仮に前哨戦で大敗しても、本番のビッグレースに出られる馬は叩きで調整をしにきている可能性もあります。
G1などのトライアルレースはトライアルレースもG2やG3などの重賞競争で行われる事も多く、こういった重賞に出てくるのは、叩きとしてはふさわしくなく実力馬が揃うのと、勝つと賞金もそれなりなので、ついつい勝とうと闘争心が必要以上に出てしまい走りすぎるリスクが出てきます。
ですのでこういった重賞の前哨戦やトライアルレースは本気の馬が多いと判断するのも一つです。
過去のデータから分析する。
競走馬によっては叩きを入れる必要性がない馬もいます。
レースに出ると闘争心がむき出しになり、必ず全力で走ってしまう馬などは、ある程度調教で体を仕上げてないといきなりレースで思いっきり走った反動がきてしまいます。
こういった馬の個性を見極める為にも、過去のビッグレース前や休養明けに叩きのレースをしているのか?叩いた事で結果自走では好走したのか?などを見てその馬が叩きの1戦を入れるのに適した馬なのかを確認しておくとよいでしょう。
調教状況から見極める。
明らかに軽めの調教で馬体重もいくらか増やしてきているケースは叩きの一戦の可能性が高いと判断する事ができます。
ただし、絞る余地が大きい馬は叩きの1戦の前でも併せ馬で一杯で追わせたりしているケースもありますので、調整がきついのは全部本気と判断するのではなく、前回とのレース感覚や、叩きのレースを絡めてスケジュールを組んでいる実績があるかも確認しておくとよいでしょう。